○燕・弥彦総合事務組合地震災害活動規程

平成9年4月1日

告示第42号

目次

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 地震発生時の消防活動計画

第1節 通則(第4条)

第2節 非常警備体制及び消防活動体制(第5条・第6条)

第3節 初動時の部内措置(第7条)

第4節 情報収集及び速報(第8条)

第5節 火災防御活動(第9条)

第6節 救急、救助活動(第10条)

第7節 応援部隊の運用(第11条)

第8節 避難指示、避難勧告、命令の伝達(第12条―第16条)

第9節 災害事象別活動要領(第17条・第18条)

第3章 事後対策(第19条―第21条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この規程は、燕市及び弥彦村の地域防災計画に定める「地震に対する災害予防」を補完し、本組合が地震発生時に行う消防活動対策等について必要な事項を定めることを目的とする。

(地震の震度想定等)

第2条 この規程における想定地震は、震度5(強)以上とする。

2 各消防署長は、管轄地域で震度4以下の地震が発生し、被害が生じた場合には、状況の把握並びに情報の収集を行い、被害状況等を消防長に報告するものとする。

(消防障害の想定)

第3条 地震による消防障害は、次に掲げる事項とする。

(1) 火災、救急及び救助事象が多発することによる消防力の分散

(2) 電話障害による通報、覚知、出動等の遅延

(3) 道路、橋及び建築物の損壊等、交通障害による消防車両の走行困難

(4) 被災地孤立化による災害応急活動の阻害

(5) 消防水利施設の損壊等による消火活動の阻害

(6) 消防の施設及び機械の被災による消防力の低下

(7) 積雪時における被害拡大又は活動の阻害

(8) その他消防活動が阻害されると予想されるもの

第2章 地震発生時の消防活動計画

第1節 通則

(消防活動対策)

第4条 第2条第1項に規定する地震が発生したとき(以下「地震発生時」という。)に、消防が行う消防活動対策は、住民の生命及び身体の保護を基本とし、具体的には出火防止と地震により発生した火災の早期鎮圧、人命救助、避難路の安全確保等を原則として活動するものとする。

第2節 非常警備体制及び消防活動体制

(非常警備体制)

第5条 地震発生時には、消防長の事前命令として「非常警備体制」を発令する。

(1) 「至急、至急、燕・弥彦消防から燕・弥彦消防所属各局」

(2) 「◯◯時◯◯分、地震災害非常警備体制発令」

3 地震発生時には、指令傍受不能の場合及び非勤務職員についても、自動的に「非常警備戒体制」をとるものとする。

(消防活動体制)

第6条 非常警備体制と同時に、全職員は直ちにこの規程に定めるところにより防災業務を遂行するものとする。

2 地震災害消防対策本部及び地震災害消防対策地区本部の設置は、次のとおり行う。

(1) 消防本部に地震災害消防対策本部(以下「消防対策本部」という。)を設置し、消防長が消防対策本部長となり、市村災害対策本部と連携を密にして、消防が行う防災活動を統括指揮する。

(2) 消防署に地震災害消防対策地区本部(以下「地区本部」という。)を設置し、消防署長が地区本部長となり、消防対策本部と連携を密にして、担当区域内の消防が行う防災活動を統括指揮する。

3 消防対策本部の体制は、燕・弥彦総合事務組合警防規程(平成9年新潟県西部広域消防事務組合告示第37号。以下「警防規程」という。)に定める非常火災時の事務機構に準ずるものとする。

4 召集及び参集については、警防規程第9章に準ずるものとする。

第3節 初動時の部内措置

(消防通信体制及び各本部の処置)

第7条 地震発生時の通信指令業務は、有線施設の障害により無線通信によることとなるため、次の要領により速やかに消防通信体制を確立するものとする。

(1) 通信取扱要綱第3条により無線の混信等を防止し、的確な消防活動を実施するため、基地局統制方式の無線統制を行う。

(2) 無線統制の発令及び解除は、通信規程第19条を運用し、次のとおり行うものとする。

「只今から震災時無線統制を図れ。」

「◯◯日◯◯時◯◯分無線統制を解く。」

(3) 無線統制の内容

 全移動局は、基地局からの呼び出し以外一切の発信を禁止する。ただし、緊急重要事案については発信することができる。

 緊急重要事案を発信する場合は、基地局の交信状況を考慮して行うものとする。

第4節 情報収集及び速報

(情報収集活動による速報要領)

第8条 消防対策本部及び地区本部は、全機能を集中して必要な情報を迅速かつ的確に収集して状況判断を行い、効率的な部隊運用を図るものとする。

2 地区本部長は、前項に掲げる事項について確認、措置、情報収集等を実施した結果を記録するとともに、消防障害状況及び被害発生状況について時機を失うことなく、消防対策本部長に随時別記第1号様式に基づいて速報するとともに、各種の活動内容を報告し、指示を受けるものとする。

3 消防対策本部は、各地区本部からの状況速報に基づいて、地震災害情報集計表(別記第2号様式)を取りまとめるとともに、各地区本部管内の被害状況及び消防部隊の活動状況を把握し、次に掲げる機関との情報交換に当たり、的確な部隊運用に努めるものとする。

(1) 各機関からの情報収集及び各地区本部への情報伝達

(2) 災害対策本部との情報交換

第5節 火災防御活動の要領

(火災防御活動の要領)

第9条 火災防御活動は、住民の生命及び身体の安全確保を基本とし、次の方針により行うものとする。

(1) 火災及び人命救助の事象が同時に発生した場合は、消火活動及び人命救助活動の緩急を十分考慮し、人命の安全確保を図るものとする。

(2) 地震被害増大の要因は、2次的に発生する火災によるものであるので、火災と水災が同時に発生した場合は、原則として火災防御活動を優先するものとする。

2 火災防御は、次に掲げる原則により行うものとする。

(1) 延焼火災が多発し拡大した場合は、人命の安全確保を優先とした避難地、避難路の確保及び防御を行う。

(2) 同時に複数の延焼火災が発生した場合は、重要かつ危険度の高い地域を優先に防御を行う。

(3) 大量危険物貯蔵施設や大規模工場等について多数の消防隊を必要とする火災の場合は、市街地に面する部分及び市街地の延焼火災防御を優先とし、それらを鎮圧した後に部隊を集結し集中防御を行う。

(4) 同時に複数の延焼火災が発生した場合は、次に掲げる重要施設を優先に防御を行う。

 医療救護施設

 避難者の収容施設(学校、体育館、公会堂等)

 災害対策実施機関の施設(県行政機関、市役所、村役場等)

 電気、ガス、水道、電話等の公共施設

 その他消防対策本部長が必要と認めたもの

3 地震発生時の総合的部隊運用は、消防対策本部運用とする。ただし、初動時及び現場活動の部隊運用は署別運用とする。

(1) 消防対策本部は、各署担当区域内の被害状況に基づき、各署の活動を調整し状況に応じた部隊運用を行うものとする。

(2) 地区本部長は、初動時に火災等を覚知した場合は、担当区域全域における状況判断を行い、部隊を運用するものとする。

4 火災防御隊は、出動途上において次の事項を行うものとする。

(1) 火災出動途上においても必要に応じて、住民に対し発生場所及び出火防止について広報すること。

(2) 火災出動途上で他の火災を発見した場合は、その状況を地区本部長に報告し指示を受けること。

(3) 火災出動途上で人命救助事象を覚知した場合は、原則として付近住民の協力を求めるとともに一部隊員をこれに当たらせ、火災現場に直行するものとし、その状況を地区本部長に報告すること。

(4) 交通障害等により走行を阻害され適当な迂回路がない場合は、その障害が短時間で排除可能なときは応急処置を講じて通行すること。

5 水利の選定については、原則として消火栓以外の水利とする。ただし、消火栓の使用が可能な場合は、この限りではない。

6 屋内進入については、余震を考慮し原則として行わないこと。

7 注水については、可能な限り大口径高圧放水とすること。

8 現場要務については、次の事項によるものとする。

(1) 防御の状況判断は、警防規程第27条の規定を準用する。

(2) 延焼防止の運用配備等は、警防規程第28条の規定を準用する。

(3) 飛火防止警戒等は、警防規程第35条に定めるほか、飛火火災が発生すると判断された場合は、車載放送設備等により住民に飛火の警戒と即時消火を指示するとともに、その状況を地区本部長に報告すること。

(4) 転戦の時機は、他への延焼危険がほぼなくなった時点とし、部分的な燃焼及び残火処理は、消防団員又は地域住民に行わせるものとし、転戦可能となった部隊の現場指揮者は速やかに地区本部長に報告し、転戦の指示を受けること。

(5) 地区本部長から転戦命令が発せられた場合は、延焼阻止前であっても所要の処置をした後、転戦すること。

(6) 転戦その他の防御活動上必要があるときは、他隊の資器材を緊急使用すること。

9 地区本部長は、火災が拡大し大火災の様相を呈した場合は、延焼阻止線を決定し消防力を集結して拡大阻止を図ること。

第6節 救急、救助活動

(救急・救助活動の要領)

第10条 救急・救助活動については、救急、救助事象の発生その他必要な情報の収集に努めるとともに、関係機関との緊密な連絡のもとに迅速かつ適切な活動を実施するものとする。

2 救急、救助隊の運用は各署別運用とする。ただし、消防対策本部から出動指令があった場合は、速やかに救急、救助隊を編成して出動するものとする。

(1) 通信可能な有線電話、無線等を活用し、各市村災害対策本部との情報連絡を図るとともに、病院その他の医療機関及び応急救護所の開設状況等を把握し、傷病者の受入れ体制等の情報収集に努めるものとする。

(2) 医療救護班による所定の救護所が開設されるまでの間は、署又は現場付近の安全な場所に仮救護所を設置し、傷病者の応急救護を行うとともに医療救護班の出動及び必要な資材の補給を要請する。

(3) 救助活動は、人的被害について規模の大きい現場の人命救助活動を優先して実施するものとする。

(4) 救急自動車による搬送は、救命の処置を要する傷者を優先とし、その他の傷者はできる限り自主的な処置を行わせるとともに、他の救護機関と連携の上で救急活動を実施するものとする。

(5) 救命の処置を要する傷者が多数発生した場合には、消防隊、救助隊及び救急隊を集中して人命救助に当たる。

(6) 救急、救助隊長は、現場の状況を速やかに地区本部長に報告するとともに、必要な措置を講ずるものとする。

第7節 応援部隊の運用

(応援部隊運用の要領)

第11条 消防対策本部長は、近隣応援協定、新潟県広域消防相互応援協定等に関する消防機関等から応援を受けたとき、又は要請したときは、当該消防機関等(以下「応援部隊」という。)の担当防御地を指定するものとする。

2 応援部隊の現地運用は、次によるものとする。

(1) 受援地の現場指揮者は、応援部隊に対し、現場の状況、防御上の留意事項等の説明を行った後に担当部署を指示するものとする。

(2) 応援を受けた現場指揮者は、応援部隊の活動状況について消防対策本部に報告するものとする。

3 地区本部長は、応援部隊の受入れと円滑な運用を図るため、応援部隊連絡員を指名するものとし、次に掲げる事項を担当させる。

(1) 応援部隊の指定集結地到着時刻を考慮して待機し、応援部隊到着時には人員装備及び指揮者を確認の上、指示された現地に誘導するとともに、活動中の連絡確保に当たること。

(2) 応援部隊への非常食の支給及び休憩場所の準備等に当たること。

第8節 避難指示、避難勧告、命令の伝達

(避難情報の通報)

第12条 消防対策本部長は、火災の進展予測により、住民を避難させる必要があると判断したときは、各市村の災害対策本部に対し、火災の延焼予測及び避難を必要とする地域、避難の安全方向等、必要な情報を通報するものとする。

(避難勧告の判定基準)

第13条 避難勧告の判定基準は、次に定めるものとする。

(1) 延焼阻止又は避難路まで火流が到着した場合若しくは避難路と避難路線の間に発生した火災で延焼阻止の見込みのないとき。

(2) 消防隊の現場活動によっても残存火災が多く、進展によっては広大な地域にわたって延焼火災になることが確実になったとき。

(3) 消防活動困難地域(密集地)等から出火し、広大な地域にわたって消防活動が不可能になったとき。

(4) 爆発性物質又は大量危険物施設の火災により毒ガス等(劇毒物及び放射線物質を含む。)が流失拡散し、多数の住民に大きな危害を及ぼすおそれがあるとき。

(避難の指示又は勧告)

第14条 消防対策本部は、火災の進展が急激で人命への危険が著しく切迫していると認められ、前2条の措置を執るいとまがないときは、住民に避難の指示又は勧告を行った後、市村の災害対策本部にその旨を報告するものとする。

(避難の指示、勧告の伝達)

第15条 燕市及び弥彦村の各地域対策本部長から、地域住民に対し避難のための指示又は勧告が発令された場合、消防対策本部は、災害状況及び消防力の余力に応じ、関係防災機関と密接な連携を図り、住民への伝達に当たる。

(避難地・避難路の消防活動)

第16条 避難地・避難路の消防活動は、燕市及び弥彦村の各地域防災計画に定めるところによる。

第9節 災害事象別活動要領

(関連災害活動要領)

第17条 災害の種別、規模等により活動内容もそれぞれ異なるため、関係機関等との連絡を密に協力し、特に次の事項に留意して活動するものとする。

2 (崖)崩れ災害活動

(1) 救助作業による発掘活動や余震等によって更に崩壊の危険性がある場所での活動は、特に2次災害による隊員の安全管理に十分注意する。

(2) 山崩れ等の生き埋め事故は、要救助者の位置の確認が非常に困難であるので、家人又は目撃者から事情を聴取して位置を確認し、救出漏れのないようにする。

(3) 位置及び発掘範囲等が決定した後は、指揮統制の下に手順よく効果的に活動する。

(4) 救助隊又は消防隊の装備及び資機材では除去できない障害物又は大量の土砂がある場合は、必要に応じて地区本部長は当該市村災害対策本部に建設重機等の出動を要請する。

3 多数の人が収容されている建物が倒壊した場合は、次の点に留意すること。

(1) 火災が併発する危険を考慮し、常に消火活動態勢を取り救助活動をする。

(2) 大規模な倒壊で多数の要救助者があり、かつ、周辺地域に火災が発生し延焼の危険が予想されるときは、早急に警防規程による応援を要請するなど、救出活動と消火活動の連携を図ること。

4 爆発時の災害については、瞬時にして多数の死傷者が予想されるので、次の点に留意して活動すること。

(1) 再爆発による2次的被害を防止するため、消防団員、警察官等と協力し、早期に警戒区域を設定するとともに、摩擦、衝撃等による発火危険防止のため、機械器具の使用に注意する。

(警戒区域の設定)

第18条 消防対策本部長は、生命、身体及び財産を保護するため、又は消防活動の確保を図るため、必要に応じて消防警戒区域を設定し、その区域内における火気の使用禁止及び災害対策に従事するもの以外の退去、出入りの禁止又は制限を行うものとする。

第3章 事後対策

(非常体制の解除)

第19条 消防対策本部長は、災害対策が進捗して非常事態を排除し、情勢の小康を確保した場合は、状況により非常態勢の一部解除又は全部解除を発令するものとする。

(事後処理)

第20条 災害の情勢等を見極め、速やかに事後処理体制に移行し、消防施設等の被害に対する応急復旧整備を図るとともに火災等の原因及び被害の調査等、必要な消防事務の遂行に当たるものとする。

(消防対策本部及び地区本部の解散)

第21条 消防対策本部及び地区本部は、各市村の災害対策本部の活動情勢を配慮して消防対策本部長が解散指示を行うものとする。

この規程は、公布の日から施行する。

(平成12年告示第10号)

この規程は、公布の日から施行する。

(平成17年告示第8号)

この規程は、平成17年3月21日から施行する。

(平成17年告示第28号)

この規程は、平成18年1月1日から施行する。

(平成18年告示第35号)

この規程は、平成18年3月20日から施行する。

(平成21年告示第16号)

この規程は、平成21年8月1日から施行する。

(平成30年告示第16号)

この規程は、平成30年4月1日から施行する。

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燕・弥彦総合事務組合地震災害活動規程

平成9年4月1日 告示第42号

(平成30年4月1日施行)

体系情報
第8編 消防業務/第3章
沿革情報
平成9年4月1日 告示第42号
平成12年12月1日 告示第10号
平成17年2月25日 告示第8号
平成17年11月18日 告示第28号
平成18年3月19日 告示第35号
平成21年7月30日 告示第16号
平成30年3月30日 告示第16号